2000年代以降に成人・社会人を迎えたミレニアル世代の私たち。インターネットが普及された環境で育ちました。何でもオンラインで出来るようになった今、この技術を使って私には何が出来るのだろう。
THE GEN LABORATORYではミレニアル世代・ミレニアルズに「未来」をテーマにインタビュー。
その名も「FOCUS ON YOU(フォーカスオンユー)」。あらゆるジャンルで活躍する同世代の仲間から刺激を受け、良いコミュニティができればと思います。連載を考えているので、興味がある方はぜひご連絡ください。
第1回目は宇宙に夢中な 現役大学生 の凛(@1123_sl)さんにインタビュー。
凛さんはいつ頃から宇宙に興味を持ち始めたのですか?
正直僕もいつから宇宙を好きになったか覚えていませんが、おそらく6歳の時からかな?と思います。当時、おばあちゃんと将来僕が何になるか二人で考えてて、そのランキングの中に「宇宙飛行士」が入ってたのを微かに覚えてます(笑)
そして僕が宇宙を本気で好きになったきっかけは小学6年生の時に出会った「宇宙兄弟」というアニメでした。僕には一人弟がいるのですが、宇宙兄弟の中で出てくるムッタとヒビトに僕たち兄弟が重なって、ムッタ達みたいに二人で宇宙にいつか行こうと弟と誓ったのを覚えています。(と、誓ったものの弟は違う道へ行ってますが(笑))そこから誰でも宇宙に行ける時代がもうそこまで来ているだと思い、今でもその夢を追いかけて大学では宇宙工学を勉強しています。
幼い頃から宇宙に憧れを持っていたのですね!私も「宇宙兄弟」は映画で観たことがあるのですが、本当にワクワクする作品でした!
現役大学生として宇宙工学を学びながら「Space Black」という団体の運営をしているようですが、立ち上げた経緯・きっかけは何ですか?
大学受験に失敗したことが、Space Blackという団体の設立に大きく影響しています。
僕が受験生の時、月面探査ローバーという月を探査する車を研究したくて、ある大学を目指していました。大学を目指し始めたのは高校3年の夏で、オープンキャンパスにも参加しました。その頃はどうしてもその大学に進学したくて、秋にあるAO入試を受験しましたが、失敗してしまいました。その後、前期試験で行くぞ!と決意したもののセンター試験で失敗してしまい、最終的に進学を諦めました。
そして泣きながら受験すると決めたのが今の大学でした。進学先を決めた日と同じ日に、「九州の宇宙開発を盛り上げよう」と決心しました。このことを決意した理由は2つあります。1つ目は、九州で宇宙に触れる場を作りたかったからです。関東や東北の方だと、宇宙に関するイベントは活発に開催されていて、子供から大人まで宇宙に触れる機会がとても多くあります。高校生だった僕はお金にも時間にも余裕がなく、到底東京まで行ってイベントに参加できませんでした。宇宙のことが好きなのに、生まれた地域でこんなに差があるのに違和感を抱きました。そのようなこともあり、宇宙教育の地域格差をなくしたいと思うようになりました。2つ目の理由は、九州の宇宙産業にあまり盛り上がりがなかったからです。九州には日本で唯一のロケット発射場が2個もあり、天文館などの施設が多いにも関わらず、その貴重な資源を有効活用できていないと考えていたからです。
そのような思いを抱きながら、無事大学にも合格しました。大学に入学してからは、小学生の頃から開発したかったCanSatという惑星探査機のようなロボットを開発したり、留学生と交流したりしました。
1年生も終わって2年生になるかあと思っていた矢先、コロナが襲い掛かってきました。宇宙関係の大会やイベントも全て中止となり、大学の春休みも延長され、することがなくなり本当に暇になりました(笑)そんな中Twitterをスクロールしていたところ、ある英語のツイートに出会いました。そのツイートのタイトルは「不況の中、設立された会社たち」で、そのタイトルの下にはAirbnbやIBMなどアメリカの大企業がリストアップされていました。その時、コロナで世の中は不況だし、これはチャンスだと思って、先ほど話した高校生頃から思っていた「宇宙教育の地域格差」をなくそうと思い団体を立ち上げました。僕の思いに共感してくれ、多くのメンバーが参加してくれ、今20人の九州工業大学の学生とオンラインで活動しています。
挫折をバネに地元の宇宙産業を盛り上げようという思考の転換と行動力が素晴らしいです!
Space Blackでは具体的に何をしているのですか?
Space Blackの目標は宇宙に興味を持つ学生を増やすこと、そして九州の宇宙業界を盛り上げる人材を育成することです。自分たちの就職と絡めると、より宇宙業界をリアルに感じてもらえ、宇宙を好きでい続けてくれるのでは?と思い、宇宙業界で活躍する起業家や研究者、学生をお招きして講演会を行っています。他にはモデルロケット開発をしたり、イベントの企画をしたりといろいろなことに取り組んでいます。
大学生ながらこんなにも行動に移して企画をしているなんて素敵ですね。
そんな凛さんの将来の夢は何ですか?
近い目標は九州の宇宙産業を盛り上げ、日本で一番盛り上がっている場所にすることです。現在は一つの大学に絞り、学生団体という形で活動しているので、次は会社という形で取り組んでみたいです。日本の宇宙開発を支える町工場は九州に多くありますが、そのことをあまりアピールが出来ていないなと思っています。また東京よりも科学館のように宇宙について触れることができる場があるのに、それを観光スポットとして生かすことが十分にできていないなど課題は山積みです。そのような問題をまず解決したいです。
そして僕の最終的な目標は宇宙に住むことです(笑)高校生の時に宇宙ゴミを回収しようとしているベンチャーの社長さんとお話する機会がありました。その時「将来は何をしたいの?」と質問され、僕はとっさに「宇宙飛行士になりたい」と答えました。すると社長さんから「誰もが宇宙に行けるような仕組みを作ったら、君も宇宙に行けるようになるよ」というアドバイスを頂きました。なので、まずは誰も宇宙に行けるような仕組みを作りたいです。宇宙に住むことは技術的には可能でも、倫理的にも法的にも問題が多いのが宇宙です。それを解決する糸口をこれから探していきたいなと思っています。
宇宙に住むこと!!私は凛さんのことを6年ほど前から知っていますが、本当に彼なら住みそうだと思いました(笑)でも、ただ宇宙が好きなだけではなくて地域格差や町工場などにも着目して夢を描いていてたくましいです。
「会社という形で」というお話ですが、起業などについて興味はありますか?
はい、とてもしたいです(笑)学生起業しようと考えています。学生団体として宇宙開発をやるのはとても楽しいし、大好きです。しかし大学の名前を背負っている以上、今後活動をしていく中で制約がでてくるかもしれません(今のところは特にないですが)。また団体内でどういう活動をしようか考えている時に、これは事業化したほうがおもしろいなというアイデアもありました。 事業内容はまだアイデア段階ですが、九州に特化して地元の人に宇宙について知ってもらえるイベントを開催したり、学生と九州にある宇宙の会社を繋げたりしようかなと考えています。これから九州は自治体が宇宙産業に参入したり、大分にスペースポート(宇宙に行くための空港)が出来たりする予定なので、それに乗っかって僕も九州の宇宙開発を盛り上げていきます!お楽しみに!
たしかに、起業するとなるとたくさんのリスクはあるかもしれませんが、より幅広く活動できるという可能性が広がりますね。
最後に、凛さんは読書も熱心されている印象があるのですが、何かおすすめの本はありますか?
僕が一番好きな宇宙の本を1冊紹介します。
「人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ」という本です。日系アメリカ人で、物理学者のミチオ・カクさんが書かれた本です。まさに僕が将来実現しようと考えている宇宙への移住について書いている本です。題名からお察しの通り3つのステップに分けて書かれています。1つ目のステップは宇宙に行く、2つ目は星と星の間の移動方法、3つ目は宇宙で生き延びる方法についてです。特に僕が興味を持ったのは1つ目のステップで、宇宙での暮らし方や資源の獲り方、娯楽など宇宙での生活の仕方について知ることが出来ました。興味のある方は是非読んでみてください!
ご紹介ありがとうございます!宇宙移住についての3ステップ。すごく気になります。以前知り合いから天体好きの私にと、プレゼントで火星の土地をいただいたことがあるので、移住について興味津々です。そしてこの時代の技術の進歩、もしかしたら移住もそう遠くない話かもしれませんね。
今回のインタビューは以上になります。私自身、宇宙や星が好きでとても興味があるので、今回お話を聞いてさらに応援したいと思いました!そして同じミレニアルズが、夢に向かって行動して積極的に活動していると知り、本当に良い刺激になりました。
宇宙に興味がある方、お話を聞いてみたい方はぜひ凛さんに!